このコラムは
- 40代♀
- ASD/ADHD
- 編み物歴長い割に初心者
という私、橋本陽子が編み物を色んなところでしたり
「どんな糸でどう編もう?」と迷いまくるかんじの内容です。
※2023年12月〜2024年2月にプロ奢ラレヤーさん主宰の
読書サークル「三つ星スラム」内での連載企画によって生まれたものです。
(編集部に転載の許可は得ています)
↓前号はこちら↓
編み物コラム『あちこち編み物』2023年1月【前編】
1月21日
本格的な手織りをしてみたいと思ったことが、今までに何度もある。
定期的に気になって、織り機をあれこれ物色しては、
結局やって見るところまでは行かない。
手織りに興味を持つようになったのは、
こちらの「おりひめ」というおもちゃの織り機がきっかけ。
(プレミアがついてるらしく、
今や本格的な木の卓上織り機とほぼ同じ値段。びっくり)
なぜ手織りをやりたいと思うのだろうか…
機織りをする人へのあこがれかなぁ…
それとも、織り上げた布が美しいからか…
縦糸の間に横糸をくぐらせる。
「おりひめ」で遊んでいたときは、その行為を積み重ねることで
模様ができてくるのが面白くもあったっけ…
色々考えてみるが、「これ」という理由は見つからない。
手織りと手編みとで大きく違う点のひとつは、
いろんな形が作れるかどうか。
手織りは真っ直ぐな布が出来上がる。
さらにそれを縫って、色々な形に仕上げる工程が必要になる。
でも、手編みは編む過程でセーターや靴下など、立体的なものも作れる。
裁縫が苦手な私にはやっぱり手編みが合っているのかなぁと思う。
何より「自ずとやり始めてしまう」ということが、答えなんだろうな。
1月22日
1月21日の
「おりひめ」に関する余談なんですが。
なぜこんなにプレミアがついているのか。
その理由がうかがえる記事を見つけました。
実は最近知ったのですが、トミーの「おりひめ」は
ダイヤル部分が海外のDAYAD社の本格的な
masterweaverという機織り機の特許を使っているらしく、
特許料を支払って作られたおもちゃらしいです。箱にもmasterweaverの記載があるので恐らくそうでしょう。
このダイヤル部分のお陰で、クローバーの3万する機織り機でさえ、
『昔のレアおもちゃ「おりひめ」』より
「おりひめ」で作れる模様を作ろうとするとかなり苦戦します。
「ダイヤル」というのは、上の写真の青丸の部分です。
そういえばちょっと特殊なつくりになってました。
おもちゃではない、本格的な卓上織り機ではできないような、
複雑な模様を織ることができるから「レアなおもちゃ」になってるのではと。
現在は「おりひめ」は廃盤になっており、ヤフオクなどで取引されたり、
ネットショップで高値で販売されています。
1月25日
YouTubeで見て気に入った、葉っぱの形のマフラー。
先日、右の青系の糸で編もうと決めたんだけど…
試し編みしたものを目の前に、ウーンと考えこんでいた。
実は、納得していないところがあったのだ。
(もう少しキツめに編んだほうがいいな…)
そのほうが、葉っぱの葉脈のようなスジ模様もくっきり出る。
あと…なかなかにお高い毛糸。
本音としては、ちょっとでも節約したい。
という訳で、針を2段階くらい細くして編み直してみたところ…
(ええやん!!)
心の中でガッツポーズした。
スジ模様は前よりかなりくっきりした。
試し編みの時点ではちょっと大きくて平面的だった。
でも、グッとコンパクトになり、葉っぱの立体感も出たじゃないか。
(ほほう…いいねぇ…)
葉っぱがひらひらと連なったような模様。
編みかたに少しこだわると、こうも模様の良さが際立つとは。
ひととき感嘆したあと、余りにうまくキマったので、ひとりでニヤニヤしてしまった。
1月28日
この街にいた、2年間の軌跡をたどるような作品になった。
この毛糸をひと目見たとき「海だ」と思った。
砂浜や碧い海、波しぶきなどが快晴の日の瀬戸内海そっくりだったのだ。
だからはじめは、この街で見てきたいろいろな瀬戸内海の色、
感じてきた風をマフラーという形で編み、まとってみたいと思った。
でも思い起こしてみると、ずいぶん変化があった2年間だった。
はじめは、ひとりでただ毎日編み続けていた。
やがて、編むことをテーマに文章を書きはじめた。
そしてついには、編むことが、自分には関係なさそうに思えていた
「つながり」をもたらしてくれた。
(本連載をしていた読書サークル内で、オンラインでの編みものカフェなどを開催)
海の景色と共に、そういう「自分の2年間の軌跡」も心に刻んでおきたくて、
これを編んでいるのかもしれない。
3分の1…
半分…
3分の2…
編み進めるごとに、そのときどきの出来事をふり返ってみる。
そういう作品の味わい方も、またいいものだ。
この街を去ることになる、春を目の前に…
今、想い出を秘めた連続模様が少しずつ連なっていく。
1月30日
掃除したいのに、エコたわしがない。
エコたわしとは、抗菌防臭の加工がされたアクリル毛糸で編んだ、
スポンジのようなもののこと。
我が家では、食器洗いや水回りの掃除はエコたわしの役目。
アクリル糸の細かい繊維が、軽い汚れなら洗剤なしで落としてくれる。
最近、そのたわしの在庫を切らしてしまい、
洗面所を使うたびにストレスだった。
ハミガキなどしたあとに、ササッと蛇口まわりを磨ければ、
いつもキレイなのに。
今はピンクぬめりや黒いカビがぽつぽつ。
「キレイ」とは程遠い。
そろそろ新しいのを編まねば。
今までには色々なデザインの作品を編んだ。
その中でも、特に私はお花の形のたわしが気に入っている。
掃除のたびにかわいい色や形のおかげで心和む。
立体的なので、吊るす場所がなくても壁に立て掛けておくことができ、
乾かしやすい。
花びらの角の部分で、細かいところを磨けるのも便利。
かわいいだけでなく、意外と機能的なのだ。
(何色にするかな…)
まだまだ寒いし、元気が出る色がいいな。
黄色、オレンジ、ピンク…うーん…ひととき迷う。
そうだ。
もうすぐ梅が咲くし、赤にするか。
お風呂掃除用のエコたわしもそろそろ交換時期だし、
そっちは白で編もう。
さっそく編み始める。前にも何回も編んだレシピ。
でも、ところどころ編み方を忘れている。
(あれ、どうやるんだっけ…こうだったかな?そうだそうだ、思い出した)
心の中でひとりごとを言いながら、どんどん進めていく。
エコたわしは、すぐ完成する。
手軽に達成感を味わえるのも、いいところ。
できた!いいやん!…と喜んだのもつかの間。
(ありゃ、、、赤いほう、花びらが1枚少なかった…)
うっかりしていた。
赤いほうは花びらが5枚の花。
白いほうは花びらが6枚の花。
…間違えたけど、まぁいいか。
さっそく掃除してみる。
洗面台、蛇口、コップもピカピカ。
(やったー!!)
気分もスッキリ。
こうして洗面所に、ひと足早く八重咲きの紅梅が咲いた。
春はもうすぐ。
↓2024年2月前編に続く↓
編み物コラム『あちこち編み物』2024年2月【前編】