
ひと目ひと目編む
ひと目ひと目編むごとに完成に近づく
私はそんな編み物が好きだ
私はそんな編み物に安心を覚える
真冬のカフェで
小春日和のソファで
時間をかけて少しずつ完成へと進む
時間を越えて少しずつ癒やされてゆく
ひと目ひと目変わる
ひと目ひとめ色が変わる糸を使って
このマフラー、帽子、セーターが
編み上がる歴史をたどる
途中で間違えてしまっても、いつでもやり直せる
私はそんな編み物が好きだ
私はそんな編み物に感心する
真夏はしゃりしゃりした
涼しい綿の糸で編む
足元には去年残り糸で編んだ
マットを敷いて
時間を忘れて編む、
冷房の効いた部屋で羽織るためのショールを編む
そうやって季節が変わったら、
夏の糸に持ち替えて
一年中編むことができる
そんな編み物が私は好きだ
そんな編み物が私をいつも支え、導いてくれる
だから今日も
ひと目ひと目編む
ひと目ひと目編んで完成に近づいてゆく